セルゲイ・ボドロフ『
モンゴル』とジョエル&イーサン・コーエン『
ノーカントリー』を立て続けに。
『モンゴル』の浅野さんは凄まじく、はっきり言ってモンゴル人(すなわちチンギス・ハーン)にしか見えなかったので、それだけでも絶対に観に行く価値があるが、本当に全三部作なんだろうか。それぐらい一気に歴史を駆け抜けた感があり、爽快ですらあった。ただ、実はそれは苦難の歴史でもあり、テムジンがこれでもかと辿る過酷な運命の描写が圧倒的な大自然の脅威と呼応して、後のチンギス・ハーンとしてのカリスマ的な存在感や偉業に揺るぎない説得力をもたらしていたように思う。
『ノーカントリー』のハビエル・バルデムは、大方の評価通り素晴らしく気色の悪いともすれば大笑いをこらえきれなくなるような怪演だった。上映時間は2時間ちょっとだが、例えばほぼ同じ上映時間の『モンゴル』と比べてみても異常に神経をすり減らされたというか、あまりに息つく暇のない緻密な映像的快楽の追求には本当に頭が下がる。ただし原題は『No Country for Old Men』、1980年の西テキサスを舞台にしておきながら現代アメリカ社会に通じてくる問題意識も見逃せない。
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